はじめに・・・膝のお皿の真下には膝蓋下脂肪体(しつがいかしぼうたい.Infrapatellar Fat Pad:IFP)という痛みを感じとるセンサーが豊富に存在するものが位置し、これは膝の曲げ伸ばしに伴い変形して動き、膝への衝撃を和らげる働き、膝蓋骨の動きをスムーズにする働き、膝の内圧を調整する働きなどがあると言われています。
IFPは膝関節が曲がる(屈曲する)と変形して膝蓋骨の後方に潜りこみます。また、膝が伸びる(伸展する)と膝蓋骨の下縁周辺に出てきます。
つまりIFPが硬く(線維化する)なると、膝を曲げること(屈曲)の制限にも、伸ばすこと(伸展)の制限のもなりえるのです。
さらに詳しく・・・膝蓋下脂肪体(IFP)は脛骨と膝蓋骨の間のスペース(関節包内で滑膜の外)だけでなく、大腿四頭筋腱の深層や膝蓋骨の内外側にも存在すると言われています。IFPは膝の屈伸で大腿骨の関節軟骨と膝蓋骨が接触する部分に存在しており、これにより、膝のお皿と大腿骨が形成する関節である、膝蓋大腿関節(PF関節)に作用する圧迫力を緩衝しており、衝撃・摩擦の吸収や軟骨の保護に役立っています。
膝蓋下脂肪体が痛みを発しているかのセルフチェック方法・所見
・膝を伸ばした状態で膝のお皿の下周辺を押す→圧痛が出る(膝伸展位ではIFPが表に出ているため押すと痛む)
・膝を60°曲げた状態で同じ場所を押す→痛みが出ない(膝を曲げた状態ではIFPは膝関節内に潜り込んでいるため痛みが出ない)
膝の可動域制限
・膝を伸ばした時に膝が伸びきらず、膝のお皿の下に詰まったような制限を感じる
・膝を深く曲げたときにお皿の下が突っ張る
などの所見がある場合はIFPの硬さが原因であることが多いです。
それではセルフエクササイズを実践してみましょう。
1.お皿の下にある組織(膝蓋下脂肪体を)深く摘まんで左右に20回揺らす
2.右に10秒押す
左に10秒押す。
※これは膝下の痛みに対する一つの方法なのですべての方に当てはまるとは限りません。増悪する場合は中止し、近医を受診しましょう。