概要:
筋力は20~30歳頃でピークに達し、65歳ではピーク時に比べ上肢筋で約20%、下肢筋で約30%低下するといわれています。筋力トレーニングの初期で筋力は増加しますが、主に神経系の改善による筋出力向上によるもので筋肥大はみられません。(神経伝達が発達し力が出しやすくなったということ)
トレーニング開始20日後でも筋肉の太さはほとんど変化なく、40日~60日進むにつれて太くなり始めると言われているため、トレーニング初期に筋肉が太くならなくても心配はいりません。継続が大切です。
効果:
①骨格筋量が増える
②基礎代謝の向上と体脂肪の減少
③サルコペニア(加齢による筋肉量の減少)やフレイル(虚弱)の予防
④糖代謝の改善やインスリン抵抗性の改善
⑤関節への負担の軽減
方法:
筋力の維持増強は、関節の可動範囲いっぱいに動かし、週2.3日、2~3セット行うと良い。(筋肉を休ませることも必要です。)筋肥大、筋持久力向上目的など目的に合わせて負荷、回数が変わってきます。強度が下がれば、反復回数を上げたり、筋肉の収縮時間を増やす必要が出てきます。呼吸は止めない。
筋力維持には最大筋力の 20~30%以上の負荷、筋力増強には最大筋力の50%以上の負荷が必要とされています。
※1RMとは1回だけ持ち挙げることができる最大重量のこと。
最大筋力(1RM)に対する割合 / 最大反復回数 / 効果
100(%) 1(回) 集中力(神経系)
90 3~4 ↓
80 8~10 筋肥大
70 12~15 ↓
60 15~20 筋持久力
50 20~30 ↓
30 30~60
このように筋肥大するには、ある程度の負荷が必要でありますが、持病がある方や虚弱高齢者などには高負荷なトレーニングは心臓や血管、内臓に負担がかかりますし、リスクであるため日常生活で必要な筋力の維持や向上を目的とするならば、低負荷で回数を増やしたトレーニングが推奨されます。
虚弱高齢者や運動経験が少ない高齢者は「楽である」と感じる強度(30~40%RM)30回反復からの開始が推奨され、運動に慣れた方や身体機能が良好な高齢者は「ややきつい~きつい」と感じる程度(50~70%RM)20~10回反復を目安に負荷を上げることも検討すると良いでしょう。
スロートレーニングといものがあり、通常の高負荷トレーニングと比較すると、負荷量が少ないため関節にかかる負担は小さく、整形外科的な障害のリスクが少ないのも利点です。さらに筋肉の収縮時間を長くとれるため、成長ホルモンの分泌が促進されやすく、40%RMでも筋肥大が得られるといわれています。
スロートレーニングのやり方
①5秒かけて動いて、5秒かけて戻る(仰向けでのお尻上げトレーニングなど)②回数は10回を2~3セット程度で週2~3回行う④呼吸は止めない